境界性と依存 680
アパートで2人になった。
私「マキさん大丈夫か?」
マキさん「うん、今日お母さんからキャバクラで働いてたんか?って聞かれた」
私「俺が常務に「お店で出会った」って言ったから常務が勘違いしたんだろうね。何て答えたの?」
マキさん「働いてないって」
私「とにかく他人を通した話はまともに伝わらない。止めないと大変な事になる。お母さんなんて自分が被害者になってる」
マキさん「本当やね‥。さすがにデリヘルしてたのは知られなくないな‥。キャバにしとけば良かった」
私「もうそんな問題じゃないよ‥。今の間違った話が専務や社長に伝わればクビだよ‥。常務は大丈夫だろうけど藤元さんはヤバイ」
マキさん「マコちゃん‥。ウチを見捨てない?」泣きながらしがみついてくるマキさんの顔を両手で支えながら
私「見捨てるのならとっくに別れてるやろ?何故信じない?何故俺に何も言わない?」
マキさん「ウチの1番の疑問はね、マコちゃんが何でウチから逃げないんだろうってことや」
私「バカなんやろ」
マキさん「マコちゃんゴメンなさい。大好きなの」
私「俺は「好き」ってことが何なのかわからなくなってる‥。でもピノ子は産まれるんだよ。マキさんも強くなりなよ」
マキさん「うん、わかった」
マキさんの車の助手席には前一点を見つめた母親が座っていた。
私はマキさんが消えて見えなくなるまで見送って家路に着いた。