境界性と依存 687
31日
上司が休んだので常務から成績についての連絡が私に入った。
常務「どうなったんや?」
私「母親にドタキャンされて話せていません。1日に話します。ご心配かけて申し訳ありません」
常務「俺まで巻き込むなよ(笑)」
私「もちろんそのつもりです。本当にすみません」
私は感じ取った。母親が常務のところまで会いに行けばきっと処分される。まあ、当たり前だ。
夜にアパートに行きマキさんにその事を伝えた。
マキさん「マコちゃん、ゴメンね。ウチがマコちゃんに近づいたせいで‥」
私「俺がピノ子出来た時にキチンとマキさんと話合わなかったからだよ。マキさんを苦しめたね」
マキさん「でもマコちゃんはウチを守ってくれたよ。ウチね、今幸せやよ」
私「幸せか‥。変な幸せやな。マキさん、それは幸せとは違うんやよ」
マキさん「逃げずに一緒にいてくれてありがとう‥」
私「俺はバカだからね。正直、逃げる機会はあったからね」
私は当初、ピノ子を産むことにはならないと思っていたこと、お店をなかなか辞めないマキさんに不満があったこと、私と同じように会っている人がいたのを知っていたことを話した。携帯を見たとは言わなかったが当然察知しただろう。
マキさん「マコちゃんはピノ子が誰の子か疑ったりはしなかったの?」
私「正直、それを考えると辛くなる時あるよ。でもそんなのピノ子がかわいそうや‥。姪っ子が3歳の時「お母さんのお腹で何してたの?」って聞いたら「お腹のプールで泳いでた」って答えたんだよ。たまたまかもしれないけど‥。俺はピノ子が全部聞いてると思うんだよ」
マキさん「そうなんや。すごいね」
私「だからピノ子の為に話し合いには同席したらいけないよ」
マキさん「うん‥。でもマコちゃん酷いこと言われるから‥」
私「キャバクラで出会ったという話も無理あるよ。マキさん夜は実家に帰ってたんだから。お母さんにしたらキャバクラで出会ったなんて俺が嘘ついて逃げようとしてるとしか思えないんやろ」
マキさん「うん、きっとそうだね‥。ウチも無理あると思う」
私「マキさん、だからもうお店には戻ったらいけないよ」
マキさんは苦笑いしながらシャワーを浴びに行った。
私は携帯をみた。
ロックはかけられていない。
新しくなったLINEの友達は明らかに減っていた。
しかし‥。
お店の店長とのトークがあった。
「お店との関わりを絶ちたいから消した」と言っていたのに‥。
未読のトークの2行には「そうだったんですか、最近何か仕事はしてるんですか?」
結局、闇は消せないのだ。