境界性と依存 657
7日
仕事を終えてアパートへ‥
私「今日は何してたん?」
いつも尋ねる。
マキさん「お母さんと買い物」
私「お母さんに何も言われんだか?」
マキさん「うん、ウチには何も言わない」
私「そうか‥」
私は笑えなくなっていた。
マキさん「マコちゃんどうしたん?どこか痛いの?」
マキさんは両親の前ではずっと演じてきたんだなと思った。
私「マキさん家では優等生だったやろ?」
マキさん「えっ?なんで?」
私「疲れるんやろ?だから外では解放してきた‥」
マキさん「よくわかるね(笑)ウチはいつもいい子だって言われてきた。お母さんはヒステリックだからいつも顔色見てた」
悲しいね。解放=SEXなんだから。
マキさん「マコちゃん変なこと聞くけど‥。お母さんがいろいろ聞いて回ってね、マコちゃんはバツイチだけど再婚して10歳の子供いるって聞いてきたんだけど‥」
私「は?あのね‥。マキさんウチに泊まりに来ておいて何故否定しないの?」
マキさん「ううん、なんとなく悲しくなって泣いてたらお母さんもしずかになったから(笑)
噂は仕方ないがやはり異様だ。
否定しないマキさんも。
私「明日お父さん達と会ったら酷いことになるな‥。マキさんはピノ子いるから外出しなよ。俺一人で頑張るから」
私はアパートを出るとき
私「マキさん、明日、俺は乗り切れないよ。少なくともお母さんは敵意剥き出しや」
マキさん「マコちゃんウチのこと嫌いになったん?」
私「好きやよ、でも俺の気持ちは誰にもわからん。でもマキさんが俺のこと本気で好きだとは思えない。わかってたよ‥。奈良に旅行行ってたのも。友達と言いながら俺と別れた後で違う男の車で消えて行ってたのも」
?
マキさんは黙って聞いていた。
マキさん「なんでマコちゃんが好きなのかも、いつから好きなのかもわからん。でも一緒にいたいよ」
私「そう言いながら明日には違うことをしてしまう怖さがある」
マキさんは「ウチはマコちゃんいないのなんて想像つかないよ‥」
マキさんは座り込んで泣きくずれた。
私「もう、ピノ子おろせば良かったとか口に出すの辞めような。もうお腹で聞いてるから」
マキさんは頷いた
私「でもマキさんは変わっていくよ‥。もしかしたら明日にも‥。だから明日両親に会ったらマキさんは居なくなるかもしれない」
マキさん「そんなことないもん、ウチは毎日マコちゃんといたいもん」
私「でもマキさんはピノ子生まれてからもお店に戻るやろ?」
マキさん「うん‥たぶん。だってみんなチヤホヤしてくれるし手っ取り早いから」
私「ピノ子が出来てなかったらもちろん辞めてないよね?そしてお客さんと連絡取り合う。マキさんが本気で俺のこと好きなんだと思えないんだよ。でもマキさんを変えたい、ピノ子も後戻り出来ないからがんばろうとしてるんよ」
マキさん「マコちゃん居ないなんてもう想像出来ないよ」
いつの間にか深夜2時を過ぎた。
私「マキさんピノ子が辛くなるからもう寝なよ」
マキさんが横になったのを見届けてアパートを出た。