境界性と依存 536
10日
仕事を終えた私はアパートに行った。
マキさんは夕食を用意していてくれた。
今日の客との出来事を私に話すマキさん。
マキさんは横になっていたが突然トイレに駆け込んだ
明らかにツワリだ
結構長く苦しんでいた
布団に戻ったマキさんはすぐに寝息を立ててしまった
苦しそうな寝息‥。
私は頭を撫でながら深夜まで寝顔を見て考え込んだ。
携帯のパターンロックをマキさんの指の動きで予想して試してみるとあっさり解除された。
メールには、しま様からお礼のメッセージとそれに返信するマキさんがいた。
LINEにはともくんもナガタ様もいなくなったまま。
悲しいことにブロックリストにともくんの名前があった‥。
悲しいなともくん‥。
ホッとしたような、悲しいような複雑な気持ちになった。
この子はどれだけの人をこうして切り捨ててきたのだろう‥
友ちゃんの時も思った
境界性?メンヘラの彼女達はそのとき一瞬で流され、ガラリと変化する。いや、出来るのだ。
彼女達は悪気はないのだ
マキさんは日頃から「既婚者ほど、『俺をもっと好きになって』と要求してくる」と言っていた。
マキさんはそのとき癒されたいだけなのに‥
私は男なので彼らの気持ちの方がわかる気がする。
結婚して恋愛から離れた世界にいる中年がマキさんや友ちゃんのような若い女性から甘えられたら有頂天になるのは当然だろう。
だが彼女達はそれを嫌う。
嫌うというよりも、彼らの限界を見切ると魅力を失うのだ。
彼らは戸惑い苦しむ。
私は痛いほど彼らの気持ちがわかる‥