境界性と依存 523
マキさんはトイレからなかなか出てこなかった。
ようやく出てきた時には真っ青な顔をしていた。
私「お腹痛いの?」
マキさん「ううん、急に気持ち悪くなってさっき食べたの全部吐いちゃった」
私「横になってなよ。もしかしたらツワリかな?」
マキさん「わからん。けどもう大丈夫や」
私「マキさん、もうお店辞めてよ」
マキさん「うん、でも実感なくて‥」
マキさんは横になって私にしがみついてすぐに寝息を立てた。
しばらくしてから私はマキさんの事故車の中の荷物を取りに行った。
ナビの中のCDを取り出す。
マキさんからLINEが届いた。
「マコちゃんナビの履歴消しておいて。ラブホに忘れ物して取りに行った時の履歴が残ってるの。そのナビ、お母さんの車につけるかもしれないから見られたくないの」
履歴を見る。
確かに一件ラブホの履歴がある。
1月13日
マキさんが夕方までLINEすらしてこなかった日。
ともくんと会っていたと思ったがナガタ様と会っていた日だ。
「このホテルに行ってたのか‥」
マキさんはお店で派遣されたホテルに忘れ物をしてお店が終わってから自分で取りに行ったという。
その日は「ずっとうだうだしてた」と言ってた日だよ‥
11日、12日は私と温泉。
ナガタ様とのメールを見て会っていたのはわかっていたが、あらためてホテルにいたのがわかり堕ちた。
クリスマス24日も私と会い、25日にはナガタ様。
11月24日は私と蟹を食べに行き25日にはナガタ様。
その間、ともくんとは奈良に2泊の旅行、ショッピングモールで待ち合わせて遊びに行ったのが数回。
もはや引きこもりなんかじゃない‥。
さらに現れたしま様。
私は頭がクラクラしながらアパートに戻った。
マキさんが夕食を作っている間、私は一人でビールを飲んでいた。
マキさん「マコちゃん何か元気ないね?どうしたん?」
私「ううん、考えごとしてただけだよ」
何を話せばいいのか思い浮かばず、黙々とビールを飲んだ。
後輩YからLINEが届いた。
仕事の相談だ。
LINEでやり取りしていると
マキさん「マコちゃん女の子から?」
私「あはは、そうだよ」
マキさん「やっぱり‥。友恵さん?なんて返したん?」
私「アイシテルって」
マキさん「そっか‥。やっぱり女の子いたか‥。そうやってウチを捨てるんや」
本気なのか冗談なのか‥
私「Yだよ(笑)仕事の相談。マキさんと毎日会ってて他に女の子いたら凄いやろ?絶倫や(笑)」
マキさん「ホントかなぁ、元気ないもん」
私「マキさんこそ、俺と会うまでに関係あった人いるやろ?その人達とはもう会ってない?俺は友ちゃんのNさんで苦しんだから、そんな人いるなら‥」
マキさん「マコちゃんいるのに何で他の人と会う必要あるん?そんな時間あるならマコちゃんと遊びたい」
こんな嘘が自然に言えるのだ。
マキさん、ウソがわかるたびに心で泣いてるよ