境界性と依存 672
仕事に戻ったが部下のトラブルに追われた。
もう全てが嫌になっていた。
従兄弟には「新しい住まいも産まれる前に決めてくれ。早く一緒に住んで落ち着け」と言われた。
私の事情を理解もせずに‥。
ピノ子が産まれて違うアパートに住んだら母親ももちろん出入りするだろう。
子育ての応援もお願いしなければならない。
あの母親と顔を合わせ続けるのか‥。
ずっと憎まれながら接していく事になるのか‥
ウンザリだ。
母の治療と仕事の往復。たまにの息抜きに風俗を利用して友ちゃんと出会った。
壊されて苦しんでいた時にマキさんに出会った。
マキさんに警戒していながら‥
結局は自業自得。
たまにテレビや雑誌でホストが女性を喰い物にしているような話があるが、本当はそのくらいドライに、冷淡に接したほうがいいのかもしれない。
私は父親が母に暴力を振るうのを見てきたせいか女性は守らなければ‥と思ってしまう。
格好良く言うつもりはない。
全てが私の責任だとわかってる。
マキさんとピノ子を守らなければならないのはわかる。
でも私はもうしばらくの母をないがしろには出来ないのだ。
マキさんの母親の怒りもわかる
大切な娘には違いないのだから
あの時‥
まだ友ちゃんとの痛みが残る12月始めに
マキさんが酔い潰れた日。
放置されたマキさんの携帯が光り、画面を見た。
驚いて見たLINEには
とも君との奈良旅行の写真‥。
「ウチ、旅行とか好きじゃなかったけど、とも君と一緒だと楽しかった。まだまだたくさん思い出つくろうね」
「マキ、誰よりも愛してる」
私は狂った。
「こいつ‥。利用してやる」
そう思っていたはずなのに
私はただ視界に入った怒鳴らない優しい人
マキさんにとっては自己確認の為の相手
それなのに私は受け取り方を間違えた。
友ちゃんで懲りたはずなのに。
私と昼食を摂った後、別れた駐車場でとも君の車に乗り込み消えて行った‥
普通なら問い詰めて別れるだろう‥。
何故か出来なかった。
弱い私の自業自得だ。