境界性と依存 612
マキさんときちんと話をしてる時に私の携帯が鳴った‥
「自宅」
母からだった。
私「もしもしどうした?」
母「まあちゃん、頭痛くて右手が動かん‥。病院連れて行って」
私「救急車呼ぶから待っとれ!横になってて」
母「まあちゃん、ワタシあんた忘れたくないよ」
私「うん、当たり前やろ。息子忘れる母親がいるか?すぐ行くから待っとって」
母「救急車やめて。大丈夫やし。また近所の人に何でも言われる」
以前、救急車を呼んだ時にサイレンに驚いた近所の方々が沢山野次馬になり見世物になったのが恥ずかしかったのだ。
119番にかけて近くまできたらサイレンを消して下さいと言ったら
「そんな要望には応じられない。サイレン鳴らさずにというなら出動しません」と言われた。
私「わかりましたお願いします」としか言えなかった。
病院に着いた時、ほとんど同時に母が到着した。
母はしっかりしている。
検査しなくてもわかっている。
頭の腫瘍が脳を圧迫しているのだと以前から聞いて知っている。
私「なんで携帯で電話しなかったん?」
母「左手じゃスマホ使えん」
母「まあちゃん、私、情けないわ‥」
母「まあちゃん、早く死にたいわ。私の人生なんやったんやろ」
母「まあちゃん、御飯食べたんか?煮物あるからチンして食べなさい。あんた最近痩せとるよ」
矢継ぎ早に話す母。でも最後には自分ではなく私の心配をする母。
ずっとそうだったね‥。小さい時から。
貧しい生活で、おもちゃは買ってくれないが、作れる物はいつも手作りしてくれた。
衣服、カバンなど。
セーターやマフラー、腹巻。友達がメーカー品のカバンでも私は母の手作り。
小さい頃は本当に嫌だった。
今は自慢だ。