境界性と依存 283
客待ちだと思ったタクシーからマキさんが降りてきた。
「?あれ?どうしたん?帰ったんじゃないん?」
マキさんは「誠さんLINEしたのに既読にならないし倒れてるかと思いましたよ〜。一緒に帰るか、ラーメン行きましょう」
「ムリムリ、この歳でシメのラーメンなんか食ったら明日胃がもたれて。なんか今日は何故か酷く酔ったからホテル泊まるよ。あなたは帰りなさい」
マキさんは「誠さんと全然話せなかったもん。私はもっと話したかったんに」
「マキさんあなたも結構酔ってるよ。また今度にしよ。俺はね、いろいろ疲れてるんよ」
「昨日彼女にあったんですか?この前飲んだ時より沢山飲んでないのに今日はかなりフラフラですよ。何があったんですか?」
思い出した‥。
夢で見たんだ。
「会うわけないやろ。夢で見ただけ‥。焼きついて消えない。酷いことされて言われたのに良い時のイメージが消せなくて苦しんでる。マキさんも気をつけた方がいいよ。気になる人に近づく時は必死なんだけど何かの拍子に突然嫌いになって相手を泣かせてることあると思うよ」
私は自分の車に乗って横になった。
マキさんは助手席に座り目を閉じている。
私「帰りなよ。朝になって誰か出勤してきたら感違いされるよ」
マキさん「私、誠さんが気になるし心配‥。突然嫌いになったりしないですよ」
私「あはは。あなたこんなオッさん好きなの?」
マキさんは頷いた。
私「それは嬉しいけど、あなたの好きは本当の好きじゃないと思うよ。彼女もそうやった。何があったん?誰かに依存しないと耐えられないようなことあったんか?」
マキさんはポロポロ泣きだした。