境界性と依存 422
行こうと思った
勤務時間中だけど夕方まで空きがある。
お店に電話してみた。2時からだ。
マキさんにLINEした。
「2時くらいに予約してみた。会いに行くよ」
マキさん「えーー(つД`)ノ知ってる笑 それがああああ、ちょっと遅れる。14時半くらいになると思われる。ごめええええん」
隙間にオーダーが入ったんだろう。
何故会いに行くか?時間が区切られているから。
家で会うときっとダラダラと話が終わらない。
一人でホテルに入る。
「何やってんだ俺‥」
久しぶりに一人でラブホテルに入った。友ちゃん以来だ。
いつもなら風呂に入るが仕事中なのでタバコを吸いながら待った。
時間通りにマキさんは現れた。
「マコさん!どしたん?名前聞いてビックリした」
私「2時間取るよ」
マキさん「嬉しいけど1時間にするね、お金もったいないもん。何か美味しいもの食べたほうがいいもん」
私「短か過ぎるよ」
マキさんはお店に電話を入れて「めぐみです。60分お願いします」
電話を切るとマキさんは「シャワー浴びてくる」と言って服を脱ぎだした。
私「マキさん、仕事しなくていいよ。話しよう」
マキさんは顔が変わった。
「いやや!仕事する!マコさんウチと別れる気できたんやろ?話したくない」
私「なんでそう思ったん?」
マキさん「マコさんこの前泣いてたし、お店まで来るなんておかしいもん!」
あっという間に顔がくしゃくしゃになった。
「彼女さんのところ行くん?志穂さん?ウチはどうしたらいいん?」
私「誰にも行かないよ。彼女とはとっくに終わったの知ってるやろ?志穂さんなんて全く関係ない」
マキさん「じゃあ私がダメなん?一緒に沢山思い出作ろうって言ってたのに」
私「マキさんお店いつまで続けるんや?ネットを信じる気はないけどマキさん散々書かれてるよ。地元だし長くやるほどリスクあるんだよ」
マキさん「辞めるよ。目標なんてなく続けてるのは自分でもおかしいと思う。でもすることないし、それなら短時間だけでも出ようってなるだけ。一人暮らしもしたいの。家は団地で自分の部屋もないしいい子を演じるのがストレスなん」
マキさん、お店の時はカラコンなんだね‥。
髪型も変えてるんだね。
スカートも履くんだね。
マキさんなりに違う人になろうとしてるのがわかる。
私「マキさん、俺はマキさん見てると辛い。マキさんが駄目なんじゃなくて俺に余裕がないんだよ」
マキさん「彼女さんの時はずっと引きずってたのにウチは‥うううう」
マキさんはソファーでも、ベッドでもなく床に座り込んで子供みたいに泣いた。
私「マキさんゴメンな‥」
私は携帯を見たと言えなかった。
私は自分のズルさをマキさんに言うこともせずに自分だけ良い人のスタンスを崩さずマキさんを泣かせたズルイ奴‥。
自分が傷つくのを恐れてマキさんだけを泣かせるズルイ方法で‥。