境界性と依存 630
家に戻っても眠れるはずはない。
マキさんに送ったLINEは既読にならない。
寝てしまっただけかもしれないが多分あえて読まないんだろう。
朝を迎えた今、母を病院に送りアパートへ向かう。
ちゃんと向き合って話せるだろうか?
聞いてくれるだろうか?
私の選択が正しいかはわからない。
でもマキさんの闇が怖い。
マキさんは「ウチ、もっと頑張るから‥」と言って泣いていた。
マキさんの努力が足りないなんて思わない。
少しずつ変わってくれていると思う。
だからこそ、先日の浜田さんとの援助交際はショックだった。
マキさんはお店では人妻の女性と交流があった。
旦那公認の人、内緒の人、皆「金をもらえないSEXなんてしたくない。旦那にも金くれ!って言いたい」と言っていた話を聞いたと笑っていた。
ズレた感覚だ。
そんな世界を知ったらコンビニで数百円の時給では働けないだろう。
その感覚を治したいのだ。
ずっと監視なんて出来ない。
ずっと疑うなんてしたくない。
アパートに着くとマキさんは起きていた。
私「マキさんゴメンな」
すぐにマキさんは布団に入って頭から被ってしまった。
私「マキさん‥。俺だって必死に考えての結果なんだよ」
マキさんは黙って目を背けていた。
私は話を続けた。
マキさんの側にだけ居られるわけじゃない‥
おおよその余命まで言われている母の世話が無くなればほとんど全ての問題が解決すること。
マキさんの気持ちがわからない時があること。
泣けてきた‥。